好きだ
熱っぽい言葉を耳元で囁かれ、その回数を重ねる事に耳や顔がその熱で赤く染まる。
ぎゅうぎゅうと背後から抱き締められ、ひたすらに好きだと唱えられる。
もう分かったからと抵抗しても、伊月はそれを止めなかった。
オレも好き、だなんて思っていても言えないし、タイミングを逃してしまった気もする。
せめて抱き締めかえそうとするも、背中を向けている上に彼はこの腕を緩める気はないらしかった。
ひゅうが、すき
幾度も繰り返された囁きと共に耳に柔らかいものが触れ、遅れて伊月の唇だと悟る。
ここまで言われ続けると、まるで呪いのようだ。
好きという言葉でぐるぐると縛り固められるような、そんな感覚。
無性にキスがしたくなった。
敢えて言うならそれ以上も。
この束縛感に欲情するほどには、日向は伊月のことが好きだった。

何度も重ねる

(090220)


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