好きだと囁かれても、素直に返すことなんて出来ないから。
「日向?」
「黙ってろ馬鹿」
「ひでぇ」
呆れたような呟きとは裏腹に、頭を撫でる手は優しい。
腕の力を緩めずに、ぎゅうぎゅうと抱きつく。
好きだ。そう、どうしようもないくらいに、好きなのだ。
「伊月」
伊月の体温、鼓動、全てが。
これだけ触れていても触れたりない。もっともっとと願うのは欲張りか。
自分だけを見ていて欲しい。だからこうして今だけでも束縛する。
「いづき、」
全部全部、オレだけのものになればいいのに。
いとしい いとしい という心
(返事ぐらいしろだアホ)
(ちょ、日向横暴!)
(090317)