ちょっと、期待してしまう。
日向順平。
誠凛高校二年生、バスケ部主将。
普段から少し口が悪くて、だが言葉からも態度からも滲む優しさがある。
厳しさもきちんと合わせ持ち、時折空回り気味だがそれでも精一杯努力する様は主将としても先輩としても好意が持てる。
「集合!…あれ、黒子ー?」
日向の言葉に従うも、見失われてしまう自分。
しかし、彼はすぐに黒子に視線を定めて、笑う。
「よし、いるな。じゃあ今日の練習だけど――」
影の薄い自分は、見つけられにくい。
それを生かすのが自分のプレイであり、特段不満ではない、が。
時々日向には気付いて貰いたいと思うのは甘えだろうか。
試合中でも日常でも、いつだって見ていて欲しい。
「黒子、ナイスパス」
ぽん、と頭に触れる日向の手は、いつも通り優しかった。
ほら、そんなにも無防備に優しい、から。

知ってますかこの視線
(090325)

inserted by FC2 system